サンタ・マリア・デッレ・グラッツィエ教会を訪れ、レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》を実際に目にすることができたのは、とても貴重な体験でした。教科書や映像で何度も見てきた作品を前にすると、絵画そのものが持つ時間の重みと空間の静けさを感じます。特に、中央に向かって視線を導くように描かれた消失点の構図が、まるでその場の空気を支配しているかのようで、改めてダ・ヴィンチの空間認識の鋭さに驚かされました。教会自体も、戦禍を経てなお美しく保存されており、ルネサンスの歴史を肌で感じられる場所です。世界遺産としての価値を実感すると同時に、長い年月をかけて守り継がれてきた人々の努力にも思いを馳せました。短い滞在でしたが、芸術と歴史が交錯するその空間に立てたことを心から嬉しく思います。