ここが誰にでも勧められる宿かというと、それは違うと思います。 浴室にシャワーは無く、蛇口からは水しか出ません。髪の毛を洗う時は、貯めてある水槽のお湯を手桶ですくって洗います。このお湯が地熱を利用しているためか少し熱い事が多いので、その場合水を加えて温度調整する必要もあります。 今回、お湯を貯めた水槽から離れた蛇口の前で、水で頭を洗っている宿泊客がいました。シャンプーを流す時に、冷たくて飛び上がりそうにしていたので、風邪を引かないだろうかと少し心配になりました。 お湯を貯めた水槽に手が届く洗い場は浴室に2ヶ所しか無いので、そこが空くのを待てばいいと思うのですが…。気の短い人にこの宿は合いません。ドライヤーも硫化水素ガスの影響を避けるため、フロントでの貸し出し式になっています。 地熱暖房のため、細かい温度調整は出来ません。客室の温度調整は窓の開け閉めで行います。秋口は網戸があっても容赦なくカメムシが入ってきます。始めからカメムシが入る事を前提に、客室には捕獲用ガムテープが置いてあります。カメムシがイヤなら自分で捕まえる必要があります。虫の苦手な人にこの宿は合いません。 客室のトイレは温水洗浄便座ではなく、手洗い場も冷たい水しか出ません。これも硫化水素ガスの影響を受けるという理由で、設備は最小限に留めているからです。(共同トイレに1ヶ所だけ、温水洗浄便座が設けてありました。) ざっと挙げてもこんな感じで、一般的な宿に慣れた人にはちょっと耐えられないかもしれません。露天風呂も秋の浴槽の底は落ち葉だらけで、葉っぱと一緒に入浴を楽しむといった割り切りが必要です。 ただ、抜群の硫黄泉、決して豪華ではないものの美味しい食事、とても感じのよい接客といった長所の方が、前述した短所を上回っていると感じます。だから何回も宿泊しています。 今回、コロナ渦になってから初めて訪れましたが、消毒用アルコールを各客室に設置するなど、本当に必要な対策にはきちんとお金をかけている事に感心しました。(置き引き被害を防ぐためでしょうが、消毒用アルコールを各客室に設置している宿、今回宿泊した宿の中ではここだけでした。) 温泉と自然が好きで、細かいことには目を瞑れる方に、オススメいたします。