部屋の畳床面に汚れが付いていたのが2日間の滞在中ずっと気になっていた。液体をこぼした線状痕が2本(幅3cm長さ40cm)とその傍に歯磨き汁を垂らしたようなしみ跡もあった。主室床にもその跡らしきがあった。このままチェックアウトすると疑いを持たれそうだから宿側に確認してもらうのがよいだろうと宿の人に診てもらった。 「汚れやシミ跡は私が付けたものではありませんよ。光の関係で判りにくいかもしれませんが、ほら逆光だとくっきり見えますよね。お客が帰った後に宿側は部屋を確認しているはずですから、汚れを発見したら最も早い時点でなぜ除去しなかったのですか。容易に取り除けるのに時間が経過すると簡単には取れなくなります、この後に部屋を使用するお客の気持ちを考えたことありますか。和風調の部屋自体が立派なだけに汚れを残すのは合わないよ。」と私。最初に案内されて部屋に入ったときは室内がムッと臭いが漂っていた。1300年間という国内3番目に長い歴史を持つこの温泉宿は維持管理が手薄のようだ。廊下や浴室の脱衣場、浴場を掃除や点検している人の姿を見かけることもなかった。宿で出される料理、温泉にもこれというよい印象はない。保守的な古い体制が支配するただの旅館を感じる。中庭の日本庭園のみに良い印象を持った程度。粟津温泉の中心的な存在であるこの旅館、法師の活性化を切に望みたい。若い女将の法師さんが、この難局を背負って無事に切り抜けられるだろうか、と心配した。