温泉津温泉に一週間滞在したさい、5泊までを「ますや旅館」にし、最終泊を2軒隣の老舗宿「のがわや旅館」にしました。なぜ、6泊全部にしなかったかというと…最終泊が土曜日だったので「ますや旅館」さんのお値段がグンと高く設定されており(←これはまぁごく普通のことですけどね)、それよりはちょっとお値打ち価格の「のがわや旅館」さんに変えたのです。いろいろ泊まってみるのも楽しいですしね。 そんなわけで、どっちにしようか…と迷っている人には参考になるかな、と思っての詳細情報です。(よろしければ「ますや旅館」さんの方の口コミも併せてご参照下さいませ) 【お部屋】 2022年にリニューアルした「櫛島」という和洋室に泊まりました。昔ながらの旅館の和室の意匠を生かしながら、フルリノベーションされたお部屋です。ベッドルームがあり、居間には椅子&テーブルがあって、年配者にはとても有難い造りです。シャワールームやトイレなどの水回りもピカピカです。情趣あふれる温泉街の通りを見下ろせる縁側スペースもあります。湯上りに縁側で涼みながら「寅さんビール」は最高でした。旅館全体としてはバリアフリーではありませんが、このお部屋はバリアフリーですし、玄関に最も近いです。ゆっくりなら階段の上り下りは可能(櫛島は2階)という方でしたら、問題なく快適に過ごせる宿です。 【アメニティ】 過剰なアメニティはなくシンプルなものだけ、という点が私はとてもいいと思いました。温泉タオルにちゃんとロゴが入っているのも、温泉好きには◎です(ちなみに「ますや旅館」さんのものにはロゴがなくて残念)。羽織は布地も色もとても上品で、「ますや旅館」さんのもの(←ちょっと野暮ったい感じ)より質がよく、私はとても気に入りました。 【お料理】 夕食は部屋食で、オーソドックスな「旅館の献立」でしたが、大変美味しかったです。温泉津で一番と評判の「ますや旅館」さんに匹敵する美味しさでした。朝食は大広間でいただきました。朝食もオーソドックスな内容に郷土食をプラスした内容でしたが、朝食は正直なところ「ますや旅館」さんに軍配が上がるかな、といったところです。 【お風呂】 過去の口コミに湯舟が小さいというマイナスな意見がありましたが、これには事情があるのです。温泉津温泉は源泉が二つあり、いずれも泉質抜群の名湯なのですが、湯量は少ないので、温泉街の宿ではそれを大事に分け合って引いています。だから源泉100%かけ流しのお風呂にするには、湯舟を小さくせざるを得ないのです。他所の温泉地でよくやっているように源泉に加水して湯量を増やして加温して大きな湯舟に入れる、なんていうズルいやり方をしていないのです。加えて、のがわや旅館さんでは、どの湯舟も毎日一度湯を抜いて清掃し新たに湯を満たして提供してくれています。だから、湯舟が小さいことは決してマイナスではないのです。ちなみに貸切風呂が一か所あり、介助が必要な方やお子さん連れには使いやすいと思います。 【ホスピタリティ】 大将も女将さんもとてもとても親切です。早めのチェックインにも快く応じて下さり、かつそれに合わせて貸切風呂の入浴もお湯が貯まり次第すぐに入れるようにしてくださったり、数量限定販売で在庫僅少の「寅さんビール」を手配して下さったり、駅までの送迎車で近隣を案内して下ったり、ほんとうにお世話になりました。 【温泉津神楽】 土曜日に宿泊したので、お宿での夕食後に温泉津神楽を見ることができました。温泉津神楽が奉納される龍御前神社はお宿から徒歩30秒です。温泉津神楽は大迫力で素晴らしい郷土芸能でした。神楽の予約は、温泉津温泉旅館組合に直接申し込むこともできますが、宿泊する旅館に依頼することもできます。ちなみに、見やすくて足が楽な椅子席は「20番~22番」です。詳細は「温泉津めぐり」というサイトからリンクで飛べば見られます。温泉津神楽は基本的に土曜日のみの奉納なので、宿泊は土曜日がお薦めですが、温泉津には他にも見どころがたくさんあるので、連泊することを強くお薦めします。 【立地】 JR温泉津駅から徒歩15分ほどの、世界遺産に認定されている美しい街並みの中にあります。駅との間の送迎もしてくれます。温泉街は小さいので外湯や飲食店などへにもお宿からは5分以内で行けます。浴衣で温泉街をそぞろ歩きするのも楽しいですよ。 【アクセス】 本数が少ない山陰本線のJR温泉津駅が最寄り駅です。出雲空港からも石見空港からも岡山駅からも広島駅からも山口駅からも、すべての周辺主要要衝地から遠い僻地です。しかしだからこそ、静寂と品位が保たれた非常に美しい温泉街にあるお宿です。古き良き日本の温泉を静かに味わいたい方にぜひともお薦めしたいお宿です。