最古の湯滝風呂が築300年以上、本館が100年以上経過しているという重厚かつ趣のある茅葺き母屋の宿。 そしてその名も「滝湯」の通り、昼夜問わず、往年と変わらないであろうドバドバ大量に降り注ぐ温泉。 この宿に泊まるということは、言わば『文化財に泊まる(泊まらせて頂く)』という体験であり、日本ならではの温泉文化を感じ、残し、伝えることへのささやかな協力或いは賛同というべきものです。 白布大火を免れ、唯一当地に残った建築遺産は、失われれば、おそらく二度と再現などできません。ましてや経済合理性から考えれば、そもそも維持することですら相当の覚悟と信念がなければ適わないでしょう。商売だけ考えたら建て替えちゃった方がよっぽどラク。 それでも、幾多の限界の中でも工夫を凝らして快適性を高め、そして磨き上げられた木の空間、温泉にしても雨の日も豪雪の日も、高温源泉と沢水の絶妙な調整を毎日行い、手数を掛けて、温泉文化を守り育んでいる宿といえます。 暑い日や寒い日は冷暖房を入れても、多少、部屋でも感じるでしょう。トイレは共同だったり(離れ、にはトイレ付もありますが..)湯宿は離れ、だったり、しますが、それらすべてが日本ならではの温泉文化です。 部屋には虫対策グッズをはじめとした事前準備のアメニティ、廊下には共用の冷蔵庫を設置、食事は、食事処でバイキングスタイルの併用、など運用の効率化も図りながら、大事な、宿そのもの、そしてお湯を最優先で守っているように感じます。 食事は大変美味しいです。米沢牛をフィーチャーしつつ、前菜やトッピング、またお酒もビール・日本酒・ワインなど各種フリーフローのものが準備されています(オプションで有料のものもあります)。 温泉については、言うまでもなく素晴らしい体験です。 ほのかに舞う硫黄とともにドバドバ流れる石膏泉。 これだけの「圧倒的な湯量のもつ威力・効力」は、日本各地の温泉を巡った中でも深く心に残るものであり、当地ならではの文化です。 湯上がりスベスベです。 チェックアウト時、温和しい看板ネコたちにお別れの挨拶をしながら、再び現代へと還ることにしましょう! ※この文化財を守るためにも、必然的に建物・敷地内すべて禁煙(火気厳禁)です。