1日目—許村（歙県）。

歙県の周辺は交通の便が悪く、午後にはネット配車の運転手を手配し、許村へ向かいました。許村に入ると、数人の老人が八角亭で将棋をしているだけで、村はひっそりと静まり返っており、古風で自然な雰囲気で、外の賑やかさとは完全に隔絶されていて、まるで千年の時を超えたかのようでした。 許村は徽州で最初の進士の村です。東漢時代に源を発し、古くは富資里と呼ばれていました。南朝の梁武帝の時代、新安太守の任昉が官を辞して隠棲し、「昉溪」と改名、また「任公村」とも呼ばれました。唐の末期、戸部尚書の許儒が乱を避けてここに身を寄せ、その後人口が増え繁栄し、宋時代に「許村」と改名されました。 許村は歴史上、進士48人を輩出しており、大学士の許国、最後の翰林の許承尧も許村出身です。南宋以降、徽商が台頭し、許村は箬岭古道に依存して急速に繁栄し、明・清時代に最盛期を迎えました。これらの商人たちは故郷に宅を建て、祠を修復し、坊を立てて宗族を光り輝かせ、許村を「十里長街」と呼ばれる富裕な小さな町に建て上げました。近代に入ると、許村では「一門五博士」、「四院士」という盛況を見せました。 許村の古村落の風情は比較的よく保存されており、1500mの長い古い街路には、明・清時代の建築物が約200棟、石牌坊6基、れんが門坊3基、亭閣1棟、廊橋1基、祠堂や民家の古宅が多数残されています。 高陽橋の旧名は離合橋で、亭と橋が完璧に融合しています。元代の処士許友山が建設し、当初は石の橋脚に木の橋桁を渡した橋でした。明の弘治年間、義官の許克云が石橋に改修しました。明の嘉靖36年(1557年)、許漢清、徐徳政、許勝生らが資金を募って石を積み上げ、木造の橋廊を建設し、「高陽橋」と改名しました。「高陽」の二文字には、祖先が河北の高陽郡に発祥したことを記念する意味があります。清の康熙58年(1719年)に再び修理され、基本的に現在の橋の形になりました。 大観亭は高陽橋のほとりにあり、明の嘉靖18年(1539年)に建てられ、許証岩、許孟孫らが許氏東支族の人々から資金を募って建設したものです。清の康熙12年(1673年)に重修されました。これは行商人や労働者の休憩所であり、また地元の文人が集う場所でもありました。 三朝典翰坊は明の崇禎14年(1641年)に建てられ、明朝の中書舎人の汪伯爵とその息子の汪徳章を称えるために建てられました。中書舎人は明朝宮中の書記官で、雅号は「典翰」と呼ばれ、息子の汪徳章も中書舎人の称号を贈られたため、「奕世」と呼ばれました。汪徳章は中国史上最年少の翰林です。 五馬坊は大観亭の北側にあり、明の正徳2年(1507年)に建てられ、福建の汀州知府の許伯升を表彰するために建てられました。古代の太守や知府の雅号が「五馬」だったことから、この名前が付けられました。 大郡伯第門坊は明代に建てられた四柱三間の無楼牌坊で、梁や枋、雀替などに細かい彫刻が施されており、華やかな装飾が施されています。三層の軒は四角に翘り上がっており、中脊の両端には鳥の装飾が付けられ、額板には「大郡伯第」と大書されています。 存心堂は清の道光年間に封賜された中宪大夫の許鉅恒が建てた古宅で、その家族の世代住居でもあり、歴史が長く、文化的な蓄積も深いものがあります。 今回の徽州行では6、7つの古村(鎮)を見学しましたが、最も印象に残ったのは許村でした。小さな許村に国家級の文化財が15件もあり、驚きました! 許村の歴史的な物語はまだまだたくさんあり、興味のある方はインターネットで調べてみると良いでしょう。