イープル(Ypres)はベルギーのウェスト=フランデレン州、フランス国境近くに位置し、中世フランドル地方で最も栄えた毛織物産業の中心地の一つでした。第一次世界大戦中、この地は5度にわたる凄惨な「イープルの戦い」で世界的に知られるようになり、街は砲火によりほぼ完全に破壊されました。また、歴史上初めて大規模な毒ガス兵器が使用された場所の一つでもあります。戦後、イープルはかつての街並みを忠実に再現して丹念に再建され、現在も旧市街には中世の面影を色濃く残す建築物が立ち並んでいます。市の中心部にある壮大な繊維会館(ラーケンハル)は、ヨーロッパ最大級の中世商業建築であり、現在は「フランドル戦場博物館」として西部戦線の歴史を生々しく伝えています。著名なメニン門(Menin Gate)の記念碑には、行方不明となった5万人以上のイギリス連邦軍兵士の名前が刻まれています。毎晩行われる「ラストポスト(The Last Post)」の追悼儀式は100年近く続いており、戦争の犠牲者への哀悼と平和への尊い祈りを象徴しています。現在のイープルは、美しい風景が広がる歴史ある古都であるだけでなく、世界的に有名な平和教育と戦没者慰霊の聖地となっています。