ずっと友達でいたい
はじめにお断りしておきます。これは私がお世話になったHanoi Inner Hotel(Splendid star boutique hotel )のHoteliers(ホテリエ)、フロント従業員3人に感謝を述べた私信のようなものです。
ホテル探しをなさっている方にとっての必要な情報が全く含まれていないわけではありませんが、やや長文ですのでご興味のある方のみお読みください。
Hotelier の皆様、2023年 2/25〜3/1までホテルを利用させていただいたHiroshi Kanno です。
長年の憧れだったアジア周遊ひとり旅。定年となったことを機に実行する事にしました。
とはいえ旅行前は、何かしら予期せぬトラブルが起きた際、はたして自力で解決できるかどうかが不安で、緊張感も同時にありました。
そして最初に訪れたHanoi に於いて、その予感が次々と顕在化しました。
なんと言っても困ったのは旅の5日目に、料金をめぐるトラブルが原因で私のスーツケースをトランクに積んだままタクシーが走り去ってしまったという出来事。
その事が原因で次の訪問地への電車の予約を無駄にしてしまいました。
それ以外ではハノイ到着後ずっと、日本から用意してきた現地のSIMカードの設定がうまく行えないせいでGPS機能が使えず道に迷ってばかりだったという不便。
4日間滞在し一旦チェックアウトしたこのホテルに戻ったのは、スーツケースを失いどうして良いかが分からず、他に頼れる場所が思いつかなかったためです。
何かが起きたようだと一目私を見て察してくれたHotelier のMrs.Lauraは、私が利用したタクシーの車体の色からタクシー会社に当たりをつけ、ドライバーの特定を依頼してくれました。
結論を述べれば、2時間後に近くの交番から私に届いたメールにより(スーツケースには私の日本の住所の他にメールアドレスを記載した名札を取り付けていました)スーツケースの所在が知らされました。
ドライバーが私を乗せた場所近くの交番へ自発的に忘れ物として届けてくれた可能性も大いにあります。
メールを受け取り、所在なげだった私が急に元気を取り戻した姿を見て、彼女も一緒に喜んでくれました。
交番で書類にサインし、スーツケースは無事に私の手元に戻りました。
iPhone の地図のGPSが使えなくて困っていると告げるとすぐに問題を解決してくれたフロント深夜担当のHotelier 、Tony 。
後で知った事ですが、ホテルへのチェックイン最終時刻が19:00と明記してある事を見過ごしていた私が深夜1:00に到着した際に、いやな顔ひとつ見せずに迎え入れてくれたのもTonyです。
彼はハノイの見どころやベトナムの地域ごとの違いについて私にいろいろと教えてくれましたし、単語を並べるだけの私の英語を注意深く聞き取って用件を察してくれ、すぐに問題に取組んでくれる非常に知恵の働く20歳の若者です。私は彼に甘えてしまい、何かと理由をつくってはフロント近辺をうろうろしていましたが、彼は常に節度を心がけた対応を示してくれました。
スーツケースが戻ったことで多少は気を取り直しましたが、旅を続ける自信を失いかけていた私を見て、気晴らしにどうかとHa Long Bayへの船上一泊ツアーを勧めてくれたMrs.〇〇(お名前を忘れてすみません)。
ギリギリのタイミングだったにもかかわらず船室の予約、及び次の訪問地Da Nangへの航空券の予約、加えてその際の空港への送迎車の手配を行なってくれた、当時赤ちゃんをお腹に宿しながらお仕事なさっていたベテランHotelier 。
あれから8週間、母親と新しい生命が共に元気であることを祈っています。
3人とも口を揃えて勧めてくれたHa Long Bayのツアーは、まるで夢を見ているような素晴らしさでした。日常を忘れるとはこうした経験をいうのでしょうね。
乗客定員12人の船で一緒に過ごしたのは、授業の休みを利用してハノイを訪れていたビジネス専攻のパリの大学生男女10人と、シンガポールからひとり旅で来ていた男性プロカメラマン、そして私。
学生達には、私という見知らぬ他人に穏やかに配慮して行動するという洗練された振舞いがいつも見られました。ひょっとするとフランスは儒教的な国なのでは? とさえ感じました。
彼らはいつもオープンで、私が加わるとそれまでフランス語だった会話が全員すぐ英語に切り替わります。
個々人に備わった自信や風格、そして明朗さが矛盾なく同居している彼らと過ごせた時間は、優れた景観やちょっとした冒険を楽しむこのツアーに計り知れない彩りを添えてくれました。
プロカメラマンとは今もやり取りが続いています。その後シンガポールを訪れた時に、彼はあちこちの観光地へ私をドライブに連れて行ってくれました。この交友は今後も続いていく事でしょう。
世間知らずだった61歳の私も、ハノイでの経験をきっかけに、現地国の人たちとのあいだには金銭にまつわる認識のギャップのあることを学習し、その後の旅行先では些細なことで腹をたてることをしなくなりました。
おかげで、途中で挫折することなく6ヶ国を51日間かけて巡り、旅行の醍醐味を十二分に味わった後、こうして無事に帰国することができました。
Hanoi Inner Hotel(Splendid star boutique hotel )の3人のHoteliers が、旅慣れしていない私に示してくださったHotelierとしての矜持がそのきっかけだったことを私は自覚しています。
そしてそのことにとても感謝しています。
「あの日本人、この先もひとりで大丈夫だろうか?」
3人とも、私が去った後、そんな心配をしてくれていたかもしれません。
4月下旬の日本はいま、清々しい季節を迎えましたよ。
皆さんが日本を訪れることがあったら、名簿から私の連絡先を探し出して、ぜひ私にコンタクトをとってください。
簡単にお約束はしませんが、今回スキップした他のアジア諸国への旅行を実行する際には、Hanoiに立ち寄って皆さんにぜひまたお目にかかりたいと思っています。
本当にありがとうございました。