浙江海塩県澉浦古鎮

「澉浦」という言葉は、中国最古の水系専門書『水経』に最初に記録されています。その中には「（県）の東南に秦望山があり、その傍らに谷水が流れ出て澉浦となる」と記されています。千年の澉水は、絶えることなく流れ続けています。現在、「澉」の字は『現代中国語辞典』で「澉浦、地名、浙江省にある」と注釈されています。「澉」という字を用いた地名は「澉水」「澉浦」のみであり、中国の「澉浦」は唯一無二の存在です。 唐の開元5年（西暦717年）、澉浦に鎮が置かれました。「中国の古鎮を見るなら嘉興、嘉興の古鎮を見るなら澉浦」と言われるほどです。嘉興の鎮の歴史を紐解くと、文献記録があり年代が明確な古鎮の中で、澉浦は最も古いものとされています。『至元嘉禾志』の記録によると、宋元時代、嘉興には7つの鎮があり、その中で澉浦が最も長い歴史を持っていることがわかります。 明の洪武19年（西暦1386年）、澉浦で城壁の建設が始まりました。東門は「延春」、西門は「肃武」、南門は「靖溟」、北門は「拱辰」と名付けられ、さらに水門が1つありました。現在も「肃武」は残っており、「拱辰」は修復されています。古鎮の構造は概ね当時のままです。城内の道観弄にある750歳の銀杏の木が、古鎮の盛衰を見守ってきました。 今日の古鎮では、依然として静かな路地が続き、石畳は無数の足跡に磨かれ、鏡のように滑らかになっています。通りに沿って並ぶ古い家々は白壁に黒瓦、門楼には精巧な彫刻が施され、濃厚な生活の息吹と歴史の沈殿を感じさせます。朝霧がたちこめる時や夕日が斜めに差し込む時、古鎮は美しい水墨画のような風景に染まり、人々をこの静けさと美しさの中に酔わせます。