迷い込んだ山霧は冷たく煙のよう | 黄石東方山弘化禅

| 黄石東方山弘化禅。朝もやがまだ晴れ切らない中、東方山の曲がりくねった山道が林の間に姿を現します。「三楚第一の山」と称えられるこの霊秀の地は、前漢の名士・東方朔がここで修行したことから名付けられ、さらに千年の古刹・弘化禅寺の盛んな香火で荊楚の地に名を馳せています。 山麓から弘化禅寺までは、多くの参拝客が徒歩を選びます。石段は蛇行しながら上り、両側には古木が天を突き、林では鳥のさえずりが聞こえ、時折リスが枝から枝へ飛び移る姿も見られます。約40分の徒歩は、「青松倒插」「白蓮頻開」などの古八景の情景を感じながら、心身を清める修行のようです。体力に自信がない方は、ロープウェイで山門まで直行することもできますが、山間の朝霧と草木の爽やかさは、徒歩でしか十分に味わえません。 弘化禅寺に足を踏み入れると、朱色の壁と黒瓦の明清時代の建築群が目に飛び込んできます。寺門の「弘化禅寺」の四字は趙朴初居士の直筆で、「三楚樹雄風威振九州禹域、五家伝正令源出東山法門」という楹聯は帰元寺の昌明法師の手によるもので、荘厳さの中に禅の意味が透けて見えます。大雄宝殿内では、四天王が厳かに立ち、僧侶の読経の声と鐘や磬の音が織り交ざり、香炉からは青い煙がゆらゆらと立ち上り、信者たちは両手を合わせて敬虔に拝みます。殿前の千年銀杏は、秋には黄金色の絨毯を敷き詰め、冬には鉄のような枝を見せ、唐の憲宗元和5年（810年）以来の寺院の歴史を見守っています。 弘化禅寺の霊験あらたかな名声は、四方から信者を引き寄せています。子授け観音殿前の蓮池では清らかな波が揺れ、蓮の灯りが水面を流れ、子宝を願う夫婦の切なる願いを託しています。薬師如来閣内では、参拝客が香を焚いて無言で祈り、病気平癒と災厄消除を願います。大雄宝殿の外では、おみくじを引く人が絶えず、僧侶のおみくじ解説は簡潔ですが、聞く者の心を開かせます。最も感動的なのは「拝山法会」で、数千人が三歩ごとに一礼し、心の中の山に向かって、心の中の仏に拝み、「一生平安、家国昌盛」を祈願します。 寺院の外の市場は賑やかですが騒がしくはありません。行商人が数珠や玉の飾りを売り、子供たちは飴細工を持って笑いながら走り回り、お年寄りは茶店で世間話に興じています。中腹の東屋では、観光客が重なり合う山々を眺め、雲海が渦巻くのを見ます。裏山の「霊泉卓錫」はこんこんと湧き出ており、伝説では智印禅師が錫杖で地面を突いて生まれたとされ、泉水は清冽で甘く、飲むと仏の光に浴しているかのようです。 山門を振り返ると、香火は絶えず、仏の教えも途切れません。詩人はかつてこう嘆きました：「仏殿荘厳能く聴誦す、此の身堪えて許多の蓮を寄せんや？」ここでは、信仰は単なる儀式ではなく、内なる心への観照でもあります。願いを求めて来ても、静けさを求めて来ても、東方山の禅の心と人間味は、最後には一陣の清風となって、俗世の喧騒を払い去るでしょう。