“僕と私の島”を愛して。　大三島【育むグルメ】ではなきん🍻

瀬戸内海のおよそ中心に位置し、“日本総鎮守”と謳われた大山祇神社（おおやまづみじんじゃ）を擁する大三島（おおみしま）。芸予諸島を結ぶしまなみ海道の主要な拠点としても注目を集め、その高尚な文化的価値と穏やかな風光を体感すべく、多くの観光客が訪れます。一方、住民はおよそ5千人を数え、生活環境や商圏の面でも、芸予諸島の中核として強い存在感を放ちます。その象徴的な事例が“愛媛県立今治北高等学校 大三島分校”。これは島内唯一の高等学校であり、四国本土にある今治（いまばり）北高校の分校としておよそ80人の生徒が学んでいます。小規模な分校でありながら、大三島の風土や地域住民と密接に関わる教育方針が特徴で、わけても“島デザイン部”は、大山祇神社のボランティアガイドや島のガイドブック制作を手掛けるなど、島の魅力発信、活性化を目指してひたむきに取り組んできました。ところが、近年の過疎化の煽りを受け、入学者数は減少し、廃校の危機に瀕するように。この苦境を脱するべく、分校では島デザイン部をはじめとする独自色を打ち出し、2019年から生徒を全国より募集。それを下支えするのが島の飲食店で、遠方から下宿する生徒のために交代で食事を提供するなど、分校の存続と生徒の生活のため、一丸となってサポートに取り組んだのです。 ① 大三島ブリュワリー（写真１～５枚目） 島の玄関口である宮浦港から大山祇神社にかけては、石灯篭が誘う参道が通じ、デザイン性豊かな飲食店やショッピングスポットが集積。観光客もまばらとなる夕方には多くの店がのれんを下ろしますが、その中にあって“大三島ブリュワリー”の灯りは、穏やかな夜の安らぎと楽しみを演出します。ブリュワリーができたのは2018年。松山市出身の店主が、大阪の“箕面ビール”での修業を経て、ビール醸造と生活の地を求めてたどり着いたのが大三島でした。大山祇神社参道に面する古民家をリノベーションし、開いた醸造所とタップルームは、木の温もりと広い間口、柔らかな瀬戸内の風がそよぐ絶好のロケーション。店内に入ると、和風民家の土間にソファーが設けられ、奥には甘い畳の香りが漂う座敷が。上り框に腰を下ろせば参道をぼうっと眺めることもでき、まるで“宅飲み”をしているかのような安心感です。気になるメニューは“ブロンドエール”や“スタウト”といったビアバーの定番に加え、大三島の無農薬柑橘を用いた“ホワイトエール”など地域色の強いものも。早速オーダーしてみると、ほのかな柚子の香りに軽やかな口当たりが調和し、飲み始めに最適な味わい。一方、ビールに合わせる“豚トロベーコン”は深いコクと良質な脂を湛え、鮮烈でありながら相性の良いコントラストを体感できます。夕涼みを兼ねてテラス席に腰かけると、傍らにあったのは島デザイン部の作ったガイドブック。こちらのブリュワリーも、紛れもなく分校存続の支援を行う店舗で、店主ご夫婦がその取り組みや生徒との思い出を語ってくださいます。島で育った生徒が、いつかビールを飲みに帰ってくる、というすばらしい希望が、いっそうその酔い心地を引き立ててくれました。 アクセス：大山祇神社から徒歩5分ほど メニュー例：ビール各種ハーフ（600円）、豚トロベーコン（550円） ② きつねのぼたん（写真６～９枚目） 大山祇神社二の鳥居の眼前に店を構える“きつねのぼたん”は、分校支援の中心である“大三島分校振興対策協議会”の会長を務めるご夫婦が営む居酒屋。奥様は分校のOG、店主の方は広島県からの移住者で、自宅を下宿として提供し、全国から生徒を迎え入れています。そのため、生徒一人一人が抱える希望や悩み、島全体がどのように彼らの生活をバックアップしているか、いずれもその実情を細やかに理解し、自分のような観光客に嚙み砕いて教えてくださいます。料理やお酒も地域への愛情が溢れたラインナップで、“ハマチのゴマ油かけ”“大三島レモンサワー”など、旬魚旬菜と島の恵みをしっかりと表すもの。その一つ一つに創作の妙味が加えられていて、ゆっくりと味わい、お酒と取り合わせることですとんと納得できます。夜も更けるにしたがい、島の夜を〆ようと最後にオーダーしたのは焼きおにぎり。香ばしい醤油の焦げ目と、ふっくらとしたお米の旨みを感じた際、それが妙に懐かしく、安らかな気持ちをもたらすのは、きっとこちらのお店が普段から“育むグルメ”を手掛けているからだと強く温かな印象を残しました。 アクセス：大山祇神社から徒歩1分ほど メニュー例：ハマチのゴマ油かけ（900円）、焼おにぎり（250円）、大三島レモンサワー（550円） #大三島ブリュワリー #きつねのぼたん #大三島 #大三島グルメ #大山祇神社 #今治 #今治市 #今治グルメ #しまなみ海道 #しまなみJAPAN #愛媛県 #愛媛旅行 #愛媛観光 #愛媛さんぽ #愛媛グルメ #四国旅行 #四国観光