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【“村上海賊”の航跡】(愛媛県今治市 旧国名:伊予)

<海を知悉し、掌握した“日本最大の海賊” 急激な潮流にその実力を体感できます> 瀬戸内海の海上交通の利便と安全は、沿岸諸地域の社会あるいは住民へ直接的な関係を持つばかりでなく、西国全体の経済や政事の動力として、広い影響力を有しました。さらにいえば、平安時代には平清盛(1118~1181)が安芸国(あき 現在の広島県西部)厳島を拠点に海道を統べ、日宋貿易を展開した事実を顧みるに、瀬戸内海の交通は、国域を超えた東アジア社会への波及効果もあったことが裏付けられます。この交通の発展は、瀬戸内海の風浪が比較的穏やかで、沿岸の港湾にも先進都市が多く存在したことを根拠としましたが、一方で避けては通れぬ難所も存在しました。その最たる例が、伊予国(いよ 現在の愛媛県)に属する飛び石のような島嶼付近の海峡で、複雑な地形が気まぐれな潮流を生みだし、多くの船を飲み込んできたのです。いわばこの“海の関所”をいかに突破するかという点は船乗りたちの悩みの種でありましたが、中世に入るとこの島嶼に強大な軍事勢力が拠って潮流を自在に乗りこなしたため、海域の制海権は彼らの手に収斂されることとなりました。この軍事勢力こそが、後に“村上海賊”と呼ばれる存在です。 そもそも村上海賊の起源は今なお詳らかでなく、元は信濃国(しなの 現在の長野県)を拠点とした武士が、平清盛の栄耀とほぼ同時期に芸予諸島へ根づき、各島の支配権を確立したと伝わります。南北朝時代にはすでに史料上で活躍が確認され、主に畿内への物資を積む輸送船を案内あるいは警護するなど、経済活動の安定に欠かせぬ役割を担っていました。戦国時代に入ると、周防国(すおう 現在の山口県東部)の大内氏や安芸国の毛利氏といった中国地方の大大名と、伊予国の河野氏をはじめとする四国の大名、さらには豊後国(ぶんご 現在の大分県南部)の大友氏が調略の手を伸ばし、村上一族は主に3つに分派して合従連衡を繰り返します。その過程において、海戦のスペシャリストすなわち“水軍”としての性格も強まり、軍船の舳先を並べては、島嶼を要塞化して気勢を高らかに上げたのです。 とりわけ有名なのが、宣教師ルイス・フロイス(1532~1597)をして“日本最大の海賊”と言わしめた村上武吉(むらかみ たけよし 1536~1604)。武吉は伊予国能島(のしま)を本拠とし、主に毛利氏と協調しながらも、瀬戸内海周囲の微妙な政情を凝視しては独自の武威を誇示しました。その活躍は瀬戸内海に留まらず、毛利氏の依頼で大坂湾へ乗り込み織田信長の軍勢と戦火を交えるなど、名実ともに日本を代表する水軍の将として認められます。しかしながら、豊臣秀吉による天下統一の構想では、海道を扼する村上海賊は経済発展の障害であり、秀吉の指示を受けた毛利氏により攻められ能島を退去。その後は毛利氏の家臣となり朝鮮出兵などに参戦しますが、ついにかつての勢威を取り戻すことなく、瀬戸内海そして時代の表舞台から遠ざかっていきました。 武吉の子孫は長州藩士として存続しますが、むしろ彼の遺徳は故郷である瀬戸内海に親しく語り継がれました。日本全体が幕府の下に一つの経済圏として集約され、泰平の日々が続くなかでは、かつて縦横に船を乗り回し、海を知悉して自在に振舞った村上海賊へ一種の憧憬が重ねられたのかもしれません。さらに、村上海賊はあくまでも“案内人・警護人”でしたが、現代においては、武吉たちによる水軍としての活躍も相まって、いわゆる“バイキング”に通じる粗暴な“海賊”という誤解も生まれています。地元では村上海賊の正しい姿を伝えていこうと、今治市大島の“村上海賊ミュージアム”を中心に熱心な顕彰が進んでいます。ミュージアムでは村上海賊の実態が細かに解説され、いまや“日本遺産”にも認定されたその歴史上の存在意義を実感できるというもの。さらに注目すべきは、ミュージアム近隣の港から瀬戸内海へ出航する“潮流体験”。その迫力は圧巻の一言で、四囲で轟々と音を立てる潮は、大雨の後の川に近しく、海が“流れる”という特異な現象を目の当たりに。体験のクライマックスでは、武吉の拠った能島を、その石垣を目視できるほどの距離まで近づくことができます。しまなみ海道の大橋を透かして沈む夕陽に照らされながら、逆巻く潮流のなかに確固として屹立するその様は、どこか村上海賊そのものの矜持を体現しているかのようでした。 ひとり旅おすすめ度:★★★★(人はいるけど少なめ。静かに観光できる!) 探訪日:5月第4週平日16時ごろ アクセス:大島北ICから車で5分ほど(村上海賊ミュージアムまで) #村上海賊ミュージアム #村上海賊 #村上水軍 #今治 #今治市 #しまなみ海道 #しまなみJAPAN #愛媛県 #愛媛旅行 #愛媛観光 #愛媛さんぽ #愛媛土産 #四国旅行 #四国観光 #四国の旅 #国内旅行好き #大島 #戦国時代 #戦国武将
投稿:2024年3月23日
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