
「バリ島に着いた!南国の風を感じたい!」と意気込んで到着ロビーに出た瞬間、
待ち構えているのは湿気を含んだ熱気と、凄まじい数のタクシー客引きです。
「タクシー?」「どこ行くの?」と次々に声をかけられ、
圧倒されて立ち止まってしまうと、その隙に囲まれてしまいます。
バリ島の玄関口であるングラ・ライ国際空港(デンパサール国際空港)は、
リゾートへの入口でありながら、最初の難関でもあります。
特に移動手段の選択を間違えると、相場の3倍以上の料金を払うことになったり、
ホテルまでの渋滞で貴重な初日の夕日を見逃したりすることも珍しくありません。
本記事では空港到着後のスマートな立ち回り方を徹底解説します。
Grab専用ラウンジの場所から、プライオリティ・パスで使えるシャワー付きラウンジ、
そして深夜到着でも安心な直結ホテルまで。
このガイドを読めば、空港の喧騒を涼しい顔でスルーして、最高のバリ旅をスタートできるはずです。
ングラ・ライ国際空港とは

ングラ・ライ国際空港(I Gusti Ngurah Rai International Airport/空港コード:DPS)は、
インドネシア屈指のリゾート地・バリ島にある唯一の国際空港です。
島の南部、クタ地区の南に位置し、海に突き出た滑走路が特徴的です。
「デンパサール国際空港」とも呼ばれますが、実際にはデンパサール市内からは13kmほど離れています。
バリ・ヒンドゥー教の割れ門(チャンディ・ブンタル)を模したゲートや、伝統的な装飾が施されたターミナルは、
空港自体がひとつの観光スポットのような美しさを持っています。
しかし、年間を通じて世界中から観光客が押し寄せるため、入国審査(イミグレーション)の列は長くなりがちです。
到着便が重なる夕方の時間帯には、入国までに1時間以上かかることも覚悟しておく必要があります。
ングラ・ライ国際空港のターミナルは2か所

引用:グーグルマップ
ングラ・ライ国際空港のターミナルは「国際線(International)」と「国内線(Domestic)」の2つに分かれています。
両ターミナルは隣接しており、屋根付きの遊歩道(フェスティバルプラザ)を通って徒歩10分程度で行き来が可能ですが、
蒸し暑い中での移動となるため、大きな荷物がある場合はカート利用が必須です。
国際線ターミナル(International Terminal)
日本からの直行便(ガルーダ・インドネシア航空)や、
シンガポール、クアラルンプール経由の便のほとんどが、この国際線ターミナルに到着します。
3階が出発ロビー、1階が到着ロビーという構造で、近年リニューアルされたため内部は非常に近代的で清潔です。
到着ロビーを出ると、両替所やSIMカード売り場が並び、その先に「免税店エリア」が広がっています。
出発時の動線には注意が必要です。
出国審査を抜けた後、搭乗ゲートに向かうためには「強制的に」長い免税店エリアを通過しなければなりません。
迷路のように入り組んでおり、香水やブランド品売り場を抜けるだけで10分以上かかることもあります。
「ゲートまであと5分」と思っていても、実際には15分かかるケースが多いため、搭乗時刻には十分な余裕を持って行動してください。
国内線ターミナル(Domestic Terminal)
ジャカルタやジョグジャカルタ、ラブアンバジョ(コモド島)など、
インドネシア国内の他都市へ移動する場合に利用します。
国際線ターミナルから見て東側に位置しており、
少し古い建物ですが、バリ独特の建築様式が色濃く残っています。
ングラ・ライ国際空港の内部にはスターバックスやロティ・オー(コーヒーパンの店)などがあり、搭乗待ちの時間も快適に過ごせます。
国際線から乗り継ぐ場合、一度入国審査を経て荷物を受け取り、徒歩で移動する必要があります。
スルーバゲージ(荷物の直送)ができない航空券の場合は、
乗り継ぎ時間に最低3時間は見ておくのが無難です。
特に夕方の国内線出発は混雑し、セキュリティチェックに時間がかかります。
ングラ・ライ国際空港から市内へのアクセス方法

ングラ・ライ国際空港からホテル(クタ、スミニャック、ウブドなど)への移動手段は主に4つです。
「安心をお金で買う」か「アプリで適正価格を狙う」か、旅のスタイルに合わせて選びましょう。
【各エリアへのアクセス比較表】
移動手段 | クタ・レギャンまで | ウブドまで | おすすめのタイプ |
Grab(配車アプリ) | 100k〜150k ルピア | 350k〜450k ルピア | コスパ重視、スマホ操作に慣れている人 |
エアポートタクシー | 150k〜200k ルピア | 500k〜600k ルピア | 交渉が面倒、すぐに乗りたい人 |
空港送迎(Klook等) | 120k〜180k ルピア | 300k〜400k ルピア | 初心者、家族連れ、深夜到着 |
路線バス | 4,400 ルピア〜 | 乗り換え困難 | バックパッカー、時間に余裕がある人 |
※価格は2025年時点の目安です(10,000ルピア≒95円)。渋滞状況により変動します。
1. Grab(配車アプリ):専用ラウンジ利用で快適
東南アジア旅行の必須アプリ「Grab(グラブ)」は、バリ島でも最強の移動手段です。
事前に料金が確定するため、ぼったくりの心配がゼロ。
クレジットカード決済なら現金のやり取りも不要です。
以前は駐車場での隠れたピックアップが主流でしたが、
現在は国際線・国内線ともに公式の「Grab Lounge」が設置されています。
到着ロビーを出て案内看板に従い、立体駐車場方面へ約5分ほど歩くと、緑色の看板が見えます。
ラウンジにはスタッフが常駐しており、
アプリでの配車を手伝ってくれるほか、エアコンの効いた部屋でドライバーの到着を待つことができます。
ただし、ウブドなどの遠距離エリアでは、
ドライバーから「帰りの客が拾えないから追加料金をくれ」とチャットで交渉されるケースが稀にあります。
2. エアポートタクシー(定額制):カウンターでチケット購入
到着ロビーを出てすぐ右手にあるカウンターで手配する、空港公認のタクシーです。
- システム:
行き先を告げると、エリアごとの定額料金(ゾーン制)を提示されます。
支払いを済ませてチケットを受け取り、担当ドライバーについていくスタイルです。
安心感はありますが、料金はGrabやブルーバードタクシー(メーター制)に比べて2〜3割ほど高めに設定されています。
また、カウンター周辺には非正規のドライバー(白タク)も混じって声をかけてくるため、
必ず「OFFICIAL TAXI」と書かれたカウンターの中のスタッフと話してください。
制服を着ていない人が「俺がドライバーだ」と荷物を持とうとしたら、毅然と断りましょう。
3. 空港送迎車:到着ロビーで待ち合わせ
初めてのバリ島旅行や、深夜便での到着、あるいは小さな子供連れの場合は、
事前に送迎車を予約しておくのが最もストレスフリーです。
Trip.comで予約しておけば、到着ロビーの柵のところで、
あなたの名前が書かれたプレートを持ってドライバーが待機してくれています。
タクシーの客引き合戦を完全にスルーして、涼しい顔で車に向かえる優越感はプライスレスです。
料金も事前決済済みなので、到着直後に両替所で焦ってルピアを用意する必要もありません。
ウブドやウルワツなど、空港から1時間以上かかるエリアへ行くなら、定額の送迎車が精神的にも楽です。
【ングラ・ライ国際空港⇒ウブドの料金例】

4. 路線バス(トランス・メトロ・デワタ):激安だが難易度高
バリ島には「Trans Metro Dewata」や「Teman Bus」と呼ばれる公共バスが走っています。
運賃は一律4,400ルピア(約40円)と激安ですが、
支払いは電子マネー(e-MoneyカードやQR決済)のみで、現金は使えません。
バス停が分かりにくく、本数も30分に1本程度と少ないため、観光客にはハードルが高いのが現実です。
また、スーツケースなどの大きな荷物を持ち込むスペースも確保されていません。
「バックパック1つで旅をする」「現地に住むように移動したい」という上級者以外は、他の移動手段を選んだ方が無難です。
ングラ・ライ国際空港のラウンジは複数あり

引用:グーグルマップ
バリ島のングラ・ライ国際空港ラウンジは、リゾート感あふれる開放的な作りが魅力です。
プライオリティ・パスを持っていれば、搭乗前の時間を優雅に過ごせます。
プレミアラウンジ(Premier Lounge)
ングラ・ライ国際空港の国際線ターミナルの中2階(メザニンフロア)に位置する、プレミアラウンジは最も人気のあるラウンジです。
天井が高く開放感があり、屋外テラス席も用意されています。
バリの湿った風を感じながら、最後の一服(喫煙可能エリアあり)を楽しむことができます。
ナシゴレンやミーゴレンといったインドネシア料理はもちろん、パスタやサラダバーも充実しています。
オーダー式のコーヒースタンドがあり、バリスタが淹れるカフェラテを楽しめるのも嬉しいポイント。
シャワールームも完備されていますが、夕方の出発ピーク時には順番待ちが発生します。
利用したい場合は入室時にすぐ受付で予約を入れましょう。
コンコルディアラウンジ(Concordia Lounge)
コンコルディアラウンジは国内線ターミナルと国際線ターミナル(3階)の両方にあります。
プレミアラウンジに比べて利用客が少なめで、落ち着いた雰囲気が漂います。
内装はシックな色調で統一されており、静かに仕事をしたいビジネスマンや、喧騒を離れて読書をしたい人に向いています。
ビュッフェ形式で提供されており、種類はプレミアラウンジより少なめですが、味のクオリティは安定しています。
特にインドネシア風のお粥(ブブール・アヤム)は、優しい味わいで旅の疲れを癒やしてくれます。
【関連記事】Trip.comの空港VIPラウンジ無料特典ガイド!
ングラ・ライ国際空港でのおすすめの過ごし方

ングラ・ライ国際空港でチェックインを済ませてから搭乗までの時間、
ただ待合室のベンチで座っているのはもったいないです。
バリ島での最後の思い出作りを楽しみましょう。
お土産屋さんなど魅力的な店舗もいくつかありますので、ご紹介していきましょう。
1. 最後のバリ雑貨ショッピング(強制通過エリアの活用)
ングラ・ライ国際空港の出国審査後の免税店エリアは、高級ブランドだけでなくバリ雑貨の宝庫でもあります。
「Coco Supermarket」や土産物コーナーでは、
バリ猫の置物、アタ製品(カゴバッグ)、バティック(ろうけつ染め)の小物が揃っています。
市内のスーパー(ビンタンスーパーなど)に比べると価格は2〜3倍の「空港価格」ですが、
ルピアの現金を使い切りたい時には最適です。
特に「Ellips(エリップス)」のヘアビタミンや、「YAVA」のグラノーラは、
ばらまき土産として安定の人気を誇ります。小銭が余ったらここで調整しましょう。
2. 空港デッキで飛行機見学と夕日鑑賞
ングラ・ライ国際空港の国際線ターミナルの待合エリアには、大きな窓から滑走路を一望できるスポットがあります。
バリ島の滑走路は海に突き出しているため、離着陸する飛行機と青い海を同時に眺めることができます。
特に乾季(4月〜10月)の夕暮れ時は、水平線に沈む夕日が空を真っ赤に染め上げ、その中を飛行機がシルエットとなって飛んでいく光景は圧巻です。
搭乗ゲートに向かう途中にあるカフェ(The Coffee Clubなど)でアイスコーヒーを買い、
窓際の席を確保して、この絶景を眺めながら旅の余韻に浸るのが最高に贅沢な過ごし方です。
3. バリニーズマッサージで旅の疲れを癒やす
ングラ・ライ国際空港の制限エリア内には「Kaya Spa」などのマッサージ店があります。
フットリフレクソロジー(30分 200k〜300kルピア程度)から、全身のバリニーズマッサージまでメニューは豊富です。
街中のスパ(1時間 100kルピア〜)と比べると割高感は否めませんが、
フライト直前にむくみを取れる価値はプライスレスです。
特に深夜便で帰国する場合、ここでマッサージを受けておくと機内での睡眠の質が格段に上がります。
施術師の技術も一定以上のレベルが保証されており、「最後に痛い思いをしたくない」という人にも安心です。
ングラ・ライ国際空港に近いおすすめホテル3選!
「深夜2時に到着してウブドまで移動するのはしんどい」「早朝便だから寝坊が怖い」という場合は、空港周辺のホテルに1泊するのが正解です。
ングラ・ライ国際空港の近くにも魅力的なホテルがいくつかありますので、
その中でも特にオススメしたい3つのホテルをご紹介します。
1. ノボテル バリ ングラ ライ エアポート(Novotel Bali Ngurah Rai Airport)

ノボテル バリ ングラ ライ エアポート
ノボテル バリ ングラ ライ エアポートはングラ・ライ国際空港の敷地内にある唯一の直結ホテルです。
国内線と国際線の間に位置し、フェンスで仕切られていますが、専用通路からアクセス可能です。
リゾート感のあるプールもあり、トランジットホテルとは思えない快適さです。
深夜到着後、移動せずにすぐベッドに倒れ込める利便性は他に変えられません。
項目 | 詳細情報 |
住所 | Jalan Raya Ngurah Rai, Tuban, Kuta, Bali |
電話番号 | +62 361 9360200 |
参考料金 | 1泊 1,200,000 ルピア〜(約11,000円〜) |
アクセス | 国際線到着ロビーから徒歩約5〜10分 |
2. ヒルトン ガーデン イン バリ ングラ ライ エアポート

ヒルトン ガーデン イン バリ ングラライ エアポート
ヒルトン ガーデン イン バリ ングラ ライ エアポートはングラ・ライ国際空港から車で5分ほどの場所にある、コスパ抜群のホテルです。
ヒルトン系列の安心感がありながら、1万円以下で泊まれることが多いです。
プールも広く、朝食ビュッフェの種類も豊富。
空港のすぐ近くですが防音がしっかりしており、静かに休めます。
項目 | 詳細情報 |
住所 | Jalan Airport Ngurah Rai No. 7, Tuban, Kuta, Bali |
電話番号 | +62 361 8976100 |
参考料金 | 1泊 800,000 ルピア〜(約7,600円〜) |
アクセス | 空港から無料シャトルバスあり(要確認) |
3. ザ パトラ バリ リゾート & ヴィラズ(The Patra Bali Resort & Villas)

ザ パトラ バリ リゾート&ヴィラズ
ザ パトラ バリ リゾート & ヴィラズはングラ・ライ国際空港の滑走路の南側、クタビーチの端に位置する老舗リゾートホテルです。
空港至近でありながら、オンザビーチのリゾート気分を味わえます。
建物はクラシックですが、広大な敷地と美しい庭園があり、
帰国前日の「最後の1泊」を優雅に過ごすのに最適です。
項目 | 詳細情報 |
住所 | Jl. Ir. H. Juanda, South Kuta Beach, Kuta, Bali |
電話番号 | +62 361 9351161 |
参考料金 | 1泊 1,000,000 ルピア〜(約9,500円〜) |
アクセス | 空港から車で約5〜10分 |
ングラ・ライ国際空港はバリ島での時間を最後まで味わえる

ングラ・ライ国際空港は、バリ島の熱気と美しさが凝縮された場所です。
到着時のタクシー客引きには圧倒されるかもしれませんが、
「Grabラウンジを目指す」「送迎車を事前予約する」という準備さえしておけば、スムーズに楽園への第一歩を踏み出せます。
帰国時は、少し早めに空港へ向かい、プレミアラウンジでナシゴレンを食べたり、
お土産の買い足しをしたりして、バリ島での時間を最後まで味わい尽くしてください。
このガイドが、あなたのバリ島旅行をより快適なものにする手助けになれば幸いです。







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