
プーケットは、気候がビーチやマリンアクティビティのコンディションに直接影響を与えます。
そのため、雨季に西海岸の波が高くなる理由や、乾季に海の透明度が上がる仕組みを知らないと、
「泳げないビーチ」を前に立ち尽くしたり、「最高の海」を逃したりする原因になりうることも。
気候の「なぜ」を理解することが、後悔のないプーケット旅行への最短ルートです。
季節 | 平均気温 | 特徴 |
乾季 | 23℃ /33℃ | ・カラッとしていて過ごしやすい |
暑季 | 25℃ /33℃ | ・1年で最も暑い |
雨季 | 24℃ /31℃ | ・短時間のスコール |
表からも分かる通り、プーケットの気候は日本の四季とは全く異なる特徴があります。
この記事では、目的に合った最適な旅行計画を立てられるようにプーケットの気候の特徴や注意点などを詳しく解説します。
プーケットの気候は3つに分けられる

プーケットの気候を理解する上で最も大切なのは、日本のような四季ではなく、大きく3つの季節に分かれているという点です。
それは「乾季」「雨季」、そして季節の変わり目である「暑季」。
この3つの顔は、実は季節風「モンスーン」の風向きによって決まります。
なぜなら、風向きが海の波の高さを変え、雨の降り方を決め、あなたの体験の質そのものを左右するからです。
ここでは、それぞれの季節の特徴を解説します。
乾季(11月~4月)
月 | 最高気温 | 最低気温 |
11月 | 31℃ | 24℃ |
12月 | 23℃ | |
1月 | 32℃ | |
2月 | 33℃ | 24℃ |
3月 | ||
4月 | 25℃ |
乾季は1年で最も天候が安定し、海が穏やかになる季節です。まさに絵に描いたような南国リゾートの気候と言えるでしょう。
その理由は、冬の時期に中国大陸から吹いてくる、冷たく乾いた「北東モンスーン」にあります。
この風は陸地を渡ってくるため湿気が少なく、雨雲ができにくいのです。
結果として降水量は激減し、抜けるような青空が広がります。
さらに重要なのが、プーケットの主要ビーチ(パトン、カタ、カロンなど)がある西海岸は、島が盾となってこの北東からの風を遮る「風裏」になること。
そのため、アンダマン海の波は驚くほど穏やかになります。
雨季(5月~10月)
月 | 最高気温 | 最低気温 |
5月 | 32℃ | 25℃ |
6月 | 31℃ | |
7月 | ||
8月 | ||
9月 | 30℃ | 24℃ |
10月 |
雨季は、インド洋からの湿った風の影響で雨が多くなり、特に西海岸の波が高くなるのが特徴のシーズン。
5月頃になると風向きががらりと変わり、今度はインド洋から暖かく湿った「南西モンスーン」が吹き始めます。
この風は広大な海の上を渡ってくるため、大量の水分を含んでいます。
この湿った空気がプーケットの山々にぶつかって上昇することで、
午後に積乱雲が発達し、短時間で激しく降る「スコール」の原因となるのです。
そして、西海岸のビーチ群は、この南西からの風と波をまともに受ける「風表」になります。
そのため、海には常時うねりが入り、遊泳には注意が必要なほど波が高くなります。
暑季(4月~5月)
月 | 最高気温 | 最低気温 |
4月 | 33℃ | 25℃ |
5月 | 32℃ |
暑季は1年で最も気温と湿度が上昇する、文字通り過酷な季節です。
この時期は、乾季の北東モンスーンから雨季の南西モンスーンへと季節風が切り替わる「移行期間」にあたります。
風がぴたりと止む、いわゆる「凪」の状態になることが多く、強い日差しで暖められた地表の熱が上空へ逃げにくくなります。
さらに、次の雨季に向けてインド洋からの湿った空気が流れ込み始めるため、湿度も急上昇。
この「高い気温」と「高い湿度」が組み合わさることで、
体感温度が40℃を超えるような、まとわりつく猛烈な蒸し暑さとなります。
プーケットの気候が及ぼすビーチや海への影響

プーケットの海の表情は気候によって劇的に変わります。
「せっかく行ったのに波が高くて泳げなかった」「楽しみにしていたシュノーケリングが、濁っていて何も見えなかった…」
そんな悲劇を避けるために、気候が海に与える具体的な影響をここでしっかり理解しておきましょう。
雨季は西海岸(パトン・カタ)の波が高くなるので要注意
パトンビーチやカタビーチといった主要な観光ビーチがある西海岸は、雨季になると波が高くなり、遊泳が危険になる日が多くなります。
これは、雨季に吹く「南西モンスーン」が原因です。
インド洋から吹いてくるこの風が、プーケットの西側に位置するビーチに直接吹き付け、大きなうねりを生み出します。
そのため、ビーチには遊泳危険を示す「赤旗」が立つことも珍しくありません。
・波の影響を受けやすいビーチ(西海岸)
パトンビーチ、カロンビーチ、カタビーチ、スリンビーチなど
・比較的影響を受けにくいビーチ(東海岸など)
パンワ岬、ラワイビーチ、ナイヤンビーチ(一部)など
もし雨季にどうしても海で泳ぎたい場合は、島の東側に位置するパンワ岬周辺のビーチを選ぶのがおすすめです。
海の透明度は気候によって左右される
プーケットのコンディションは、気候、特に「雨」と「波」に大きく左右されます。
そのため、ダイビングやシュノーケリングなどのマリンスポーツを楽しむなら、このメカニズムを知っておくと役立ちます。
透明度が下がる主な原因は2つあります。
- 雨による土砂の流入
- 波による海底の砂の巻き上げ
この2つの要因がほとんど発生しないのが、雨が少なく波も穏やかな乾季(11月~4月)で、マリンスポーツに最高の気候条件が揃っています。
この時期の透明度は平均で25mを超え、ダイビングやシュノーケリングが目的なら、この時期を狙うのが間違いありません。
シミラン諸島が閉鎖される時期
シミラン諸島は世界中のダイバーが憧れる聖地であり、プーケットから日帰りツアーで行けます。
日本人観光客にも人気がありますが、実は1年中いつでも行けるわけではありません。
気候の影響により、例年5月中旬から10月中旬までの約5ヶ月間は、完全に閉鎖されます。
閉鎖されるのには、主に2つの理由があります。
- 航行の安全確保:雨季はアンダマン海の波が非常に高くなり、プーケットからシミラン諸島までの約100kmの航海が危険になるためです。
- 海洋生態系の保護:手つかずの自然を守るため、観光客が立ち入らない期間を設けています。サンゴの産卵期と重なることもあり、海の生き物たちにとっても大切な休息期間とされています。
この時期にプーケットを訪れても、シミラン諸島で潜ることはできないので、計画を立てる際には注意が必要です。
プーケットの気候から見る旅行の服装と持ち物

プーケット旅行の服装、「1年中夏だからTシャツと短パンで大丈夫」と思っていませんか?
プーケットは季節によっては屋外の「灼熱地獄」と、屋内の「極寒冷凍庫」に悩まされることも。
この極端な環境変化にどう対応するかが、プーケットを快適に過ごすためのカギ。
ここでは、現地のリアルな気候に基づいた、必要な服装と持ち物を紹介します。
気温30℃でも長袖が必要
「気温30℃なのに、なぜ長袖?」と不思議に思うかもしれません。
その理由は、強烈な屋内の冷房にあります。
日本の気温30℃はじっとりとした蒸し暑さですが、プーケットの場合は肌を刺すような日差しと、まとわりつくような湿気が特徴です。
しかし一歩、デパートやレストランに入れば冷房により体感温度18℃と言ってもいいほどの寒さに。
半袖半ズボンで入ると、10分もしないうちに鳥肌が立ち、楽しむどころではなくなってしまうことも。
そこで役立つのが薄手のカーディガンやパーカーなどの羽織もの。
軽くてUVカット機能もある1枚をバッグに忍ばせておけば、屋外の日差し対策と屋内の冷房対策の両方で大活躍してくれますよ。
雨季のスコール対策は必須
特に雨季(5月~10月)に旅行する場合、突然のスコールへの対策は欠かせません。
「濡れないようにする」のではなく、「濡れても大丈夫なようにする」という発想の転換が大切です。
折りたたみ傘は手軽に持ち運べるのがメリットですが、風を伴う横殴りのスコールではあまり役に立たず、結局濡れてしまうことも。
おすすめは現地調達のレインコート。コンビニで購入でき、全身をすっぽり覆い、両手が空くので便利です。
また、靴は濡れてもすぐに乾き、滑りにくい「クロックス」のようなサンダルがベストです。
プーケットの気候に関するよくある質問
台風の直撃はありますか?
台風の直撃はほとんどありません。ただし近くの南シナ海などを台風が通過する際に、その影響で数日間雨が続いたり、海が荒れて離島ツアーが中止になったりすることはあります。雨季の雨は1日中やまないのですか?
プーケットの雨季の雨は「スコール」と呼ばれ、短時間で集中的に降るのが特徴です。午後の14時〜16時頃に1〜2時間だけ「バケツをひっくり返したような雨」が降り、その後はカラッと晴れることが多いです。1番暑い時期は日本の夏と比べてどれくらい違いますか?
日本より過酷な暑さと言えるでしょう。最も暑い4月~5月は、気温が35℃を超えるだけでなく、湿度が常に85%前後あります。まるで熱いミストサウナの中を歩いているような感覚です。乾季は雨が降らない分水不足になったりしますか?
深刻な水不足はプーケットが抱える社会問題のひとつになっています。そのため、ホテルによってはシャワーの勢いが弱くなったり、夜間に計画的な断水が行われたりすることもあります。
プーケットの気候の理解が旅行の成否を分ける

プーケットの気候がもたらす旅行やアクティビティへの影響について、メカニズムから具体的な対策まで解説してきました。
これで「雨季だからダメ」「乾季だから良い」と考えることはないはず。
プーケットの気候の「なぜ」を理解したことで、海のコンディションを予測し、旅の目的に合った計画を、自信を持って立てられるでしょう。
プーケットの気候に合わせた万全の準備をして、旅行を思いっきり満喫してくださいね。







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