
「ホーチミンに到着した瞬間、タクシーの客引きに囲まれてパニックになった」
「Grabを呼んだのに、どこで待てばいいのか分からず30分も彷徨った……」
ベトナム最大の都市・ホーチミンの玄関口であるタンソンニャット国際空港(SGN)は、
市内中心部からわずか8kmという好立地にありながら、その混雑ぶりと複雑な動線で旅行者泣かせの空港として知られています。
到着ロビーを出た瞬間に襲ってくる南国の熱気と、凄まじい数の出迎えの人波。
ここで立ち止まってスマホで検索を始めるのは、カモにしてくださいと言っているようなものです。
本記事では、ぼったくりタクシーを回避して安全に市内へ移動する具体的な手順から、
早めに到着してしまった際のラウンジ活用術、深夜便でも安心して眠れる空港近隣ホテルまでを網羅しました。
このガイドさえあれば、混沌とした空港の喧騒を涼しい顔でスルーして、
美味しいフォーやバインミーが待つ市内へ最速でたどり着けるはずです。
タンソンニャット国際空港とは

タンソンンニャット空港の新ターミナル、連休明けに供用開始 | Vetter ...
タンソンニャット国際空港(Tan Son Nhat International Airport / 空港コード:SGN)は、
ベトナム南部の経済都市ホーチミン市にある国際空港です。
年間利用客数は3,000万人を超え、
キャパシティの上限ギリギリで運用されているため、時間帯を問わず常に混雑しています。
特徴的なのは、市街地(1区など)までの距離が非常に近いこと。
通常であれば車で30分程度で到着しますが、ホーチミン名物の「バイク渋滞」に巻き込まれると1時間以上かかることもザラにあります。
また、入国審査(イミグレーション)の行列も悪名高く、
到着便が重なる時間帯には通過だけで60分以上を要することも珍しくありません。
「飛行機を降りてから空港を出るまで最低90分」を見込んでスケジュールを組むのが、ベトナム旅の鉄則です。
タンソンニャット国際空港のターミナルは2か所

タンソンニャット国際空港ターミナル建設事業 | ODA見える化サイト
タンソンニャット空港には、第1ターミナル(国内線)と第2ターミナル(国際線)の2つのターミナルがあります。
この2つは隣接していますが、歩くと連絡通路経由で約5〜10分かかります。
日本からの旅行者が主に利用するのは第2ターミナルですが、ダナンやフーコック島へ乗り継ぐ場合はターミナル移動が発生するため注意が必要です。
第1ターミナル(T1):国内線専用
ベトナム航空、ベトジェットエア、バンブーエアウェイズなどの国内線が発着するターミナルです。
建物は古く、常に多くの地元客でごった返しています。
注意すべきは、チェックインカウンターの場所が航空会社によって細かく分かれている点です。
特にベトジェットエアのカウンターは早朝から長蛇の列ができることで有名で、
預け荷物がある場合は出発の2時間前でもギリギリになることがあります。
また、制限エリア内の待合スペースは座席数が不足気味なので、
早めに保安検査を抜けて搭乗ゲート付近のカフェ(Highlands Coffeeなど)で席を確保するのが賢い過ごし方です。
第2ターミナル(T2):国際線専用
JAL、ANA、ベトナム航空(国際線)などが発着する、2007年に開業した比較的新しいターミナルです。
4階建ての構造で、到着ロビーは1階(G階)、出発ロビーは3階にあります。
到着ロビーを出ると、左右に出迎えの人々がびっしりと並ぶ独特の光景が広がっています。
ここで声をかけてくる「タクシー?」「シティ?」という客引きは100%無視してください。
彼らについていくと、相場の3倍〜5倍の料金を請求される白タク被害に遭う確率が跳ね上がります。
正規のタクシー乗り場やバス乗り場は、建物を出て左手奥に進んだ場所に集約されているため、
まずはそこを目指して歩き出すことが重要です。
タンソンニャット国際空港から市内へのアクセス方法

空港から市内中心部(1区・ドンコイ通り周辺など)への移動手段は主に4つです。
結論から言うと、「Grab(配車アプリ)」が最も推奨されますが、乗り場が複雑なため注意が必要です。
【ホーチミン市内へのアクセス比較表】
移動手段 | 所要時間(1区まで) | 料金目安 (VND) | おすすめのタイプ |
Grab(グラブ) | 30〜45分 | 100,000〜150,000 | ぼったくり回避最優先、スマホ慣れしている人 |
正規タクシー | 30〜45分 | 150,000〜200,000 | アプリ設定が面倒、すぐに乗りたい人 |
109番バス | 45〜60分 | 20,000 | 荷物が少ない、安く済ませたい人 |
送迎車 | 30〜45分 | 300,000〜 | 初めてのベトナム、家族連れ |
※10,000 VND ≒ 60円(2025年時点の目安)
1. Grab(配車アプリ):ぼったくり知らずの最強ツール
東南アジア旅行の必須アプリ「Grab」を使えば、料金が事前に確定するため安心です。
クレジットカードを登録しておけば現金のやり取りも発生しません。
以前は到着ロビー目の前まで来てくれましたが、
現在は規制により「駐車場ビル」や「レーンB以降」でのピックアップに変更されています。
到着ロビーを出て横断歩道を渡り、指定された柱番号(例:Column 10)やGrab専用乗り場の看板を探す必要があります。
到着直後の暑い中で荷物を持って移動するのは少し骨が折れますが、明朗会計の安心感には代えられません。
2. 正規タクシー(ビナサン・マイリン限定)
アプリを使わずにタクシーに乗る場合、絶対に選ぶべきなのは「Vinasun(ビナサン)」か「Mai Linh(マイリン)」の2社だけです。
到着ロビーを出て左端にある公式タクシー乗り場へ向かい、係員(制服着用)に誘導してもらいましょう。
車体に電話番号(ビナサンは38.27.27.27)が大きく書かれているのが目印です。
ただし、これらの優良会社であっても、
空港使用料(10,000 VND)をメーター料金に上乗せして請求されるのは正規のルールですので、
ぼったくりと勘違いして揉めないように注意してください。
3. 黄色いバス(109番):コスパ最高の公共交通
バックパッカーや一人旅におすすめなのが、空港と1区(ベンタイン市場方面)を結ぶ「109番バス」です。
車体は鮮やかな黄色で分かりやすく、車内にはスーツケースを置くスペースも確保されています。
運行間隔は20〜30分程度。チケットは乗車後に係員から購入するか、バス停のブースで購入します。
以前あった「152番バス(緑色)」はさらに安いですが、
荷物料金を追加請求されたり、車両が古かったりするため、
観光客にはこの109番の方が圧倒的に快適でおすすめです。
4. 空港送迎車(ホテル・旅行サイト手配)
Trip.com、または宿泊ホテルに依頼してハイヤーを手配する方法です。
到着ロビーで自分の名前が書かれたボードを持ってドライバーが待機してくれているため、
タクシー乗り場の行列に並ぶ必要も、Grab乗り場まで歩く必要もありません。
料金はタクシーの2倍程度かかりますが、深夜到着や小さなお子様連れ、
あるいは高齢の両親を連れての旅行なら、この「安心」と「快適」を買う価値は十分にあります。
- Trip.comのプライベート送迎|タンソンニャット国際空港⇒サイゴン中央郵便局の料金例

タンソンニャット国際空港のラウンジは3か所

タンソンニャット空港(国際線)には、プライオリティ・パス等で利用できる質の高いラウンジが複数あります。
ベトナム料理の食べ納めにも最適です。
Le Saigonnais Business Lounge(ル・サイゴネイズ)
JALの指定ラウンジでもあり、ベトナムの伝統的なデザインを取り入れた落ち着いた空間です。
ここの目玉はライブキッチンで作ってくれる「フォー(Pho)」です。
空港のレストランよりも美味しいと評判で、スープの出汁もしっかり効いています。
他にも生春巻きや揚げ春巻きなど、ベトナム料理のラインナップが充実しています。
設備はシャワールーム完備。
タオルの貸し出しもあるため、深夜便に乗る前に汗を流してリフレッシュするのに最適です。
Apricot Business Lounge(アプリコット)
主にLCCやその他の航空会社の指定ラウンジとして使われるほか、各種カード会員も利用可能です。
ル・サイゴネイズに比べると少しカジュアルな雰囲気ですが、広さは十分です。
滑走路に面した大きな窓があり、飛行機の離着陸を眺めながら過ごせます。
尚、注意点としてコンセントの数が席によって偏りがあるため、
充電が必要な場合は入室後すぐに電源近くの席を確保することをおすすめします。
マッサージチェアも数台あり、旅の疲れを癒やすのに重宝します。
Jasmine Halal Lounge(ジャスミン)
ベトナム初のハラル認定ラウンジとしてオープンしました。
イスラム教徒の旅行者に配慮した祈祷室が完備されており、提供される食事もすべてハラル認証済みです。
食事は地中海料理やスパイシーなカレーなど、他のラウンジとは一味違ったメニューが楽しめます。
利用客が比較的少なく静かなので、喧騒を離れてゆっくり読書や仕事をしたいビジネスマンにとっては穴場的な存在と言えるでしょう。
タンソンニャット国際空港でのおすすめの過ごし方

出国審査を抜けた後の制限エリア内は、意外とお土産やグルメが充実しています。
最後のVND(ベトナムドン)を使い切るチャンスです。
1. 「Big Bowl」で最後のフォーを食べる
ゲート付近に複数店舗ある「Big Bowl」は、
空港価格(1杯 80,000〜100,000 VND程度 / 約500〜600円)で少々割高ですが、味は本格的です。
「Spicy Beef Noodle」はピリ辛で食欲をそそります。たっぷりのハーブとライムを絞っていただきましょう。
市内で食べ損ねた人や、機内食まで待てない人にとっては救世主のような存在です。
提供スピードも早いため、搭乗開始30分前でもサクッと食べられます。
2. ベトナムコーヒー豆とフィルターを購入する
免税店エリアには多くの土産物店がありますが、
おすすめは「Highlands Coffee(ハイランズコーヒー)」や「Trung Nguyen(チュングエン)」のコーヒー豆です。
自分用ならスーパーで買うのが安いですが、買い忘れた場合はここで。
「Sang Tao 1〜5」など番号が振られた豆は、数字が大きくなるほど高級になります。
アルミ製のコーヒードリッパー(フィルター)とセットになったギフトボックスは、
約200,000 VND(約1,200円)前後で購入でき、バラマキ用としても見栄えが良いので重宝します。
3. 足つぼマッサージでむくみ取り
制限エリア内には数カ所のスパ・マッサージ店があります。
フットマッサージは30分で約15〜20ドル程度。
市内相場(10ドル以下)と比べると「空港価格」ですが、フライト中の足のむくみを予防できると考えれば悪くありません。
特に深夜便を利用する場合、搭乗前に施術を受けると機内での睡眠の質が格段に上がります。
施術師の技術もしっかりしており、強めの指圧が好きな人にはたまらない痛気持ちよさです。
タンソンニャット国際空港に近いおすすめホテル3選!
「深夜2時に到着して市内へ移動するのが不安」「早朝6時のフライトだから寝坊できない」という方は、空港近くのホテルに泊まるのが鉄則です。
1. ibis Saigon Airport(イビス サイゴン エアポート)

イビス サイゴン エアポート
空港から徒歩圏内(約500m)にある唯一の国際チェーンホテルです。
実際は交通量の多い道路を渡る必要があるため、
荷物があるなら無料シャトルバス(要予約)を利用するのが安全です。
朝食ビュッフェは早朝4時から営業しており、早朝便利用者には涙が出るほどありがたいサービスです。
項目 | 詳細情報 |
住所 | 2 Hong Ha Street, Ward 2, Tan Binh District |
電話番号 | +84-28-3848-5556 |
参考料金 | 1泊 約1,500,000 VND〜(約9,000円〜) |
特徴 | 無料シャトルバスあり。屋上プール&バーが快適。 |
2. Holiday Inn & Suites Saigon Airport

ホリデイ イン & スイーツ サイゴン エアポート by IHG
空港から車で約10分。ベトナム初のホリデイ・インとして開業しました。
客室は広々としており、モダンで清潔感抜群。
併設のイタリアンレストランもレベルが高く、トランジットだけでなく、
ここを拠点に観光しても良いくらい快適なホテルです。
項目 | 詳細情報 |
住所 | 18E Cong Hoa Street, Ward 4, Tan Binh District |
電話番号 | +84-28-3948-5050 |
参考料金 | 1泊 約2,500,000 VND〜(約15,000円〜) |
特徴 | 5つ星級の設備。大型ショッピングモールに隣接。 |
3. Bluesky Serviced Apartment Airport Plaza

ブルースカイ サービスド アパートメント エアポート プラザ
空港の真正面に位置するサービスアパートメントです。
イビスホテルのすぐ隣にあります。
部屋が広く、洗濯機が室内に完備されているため、
旅行中の衣類をここでリセットできるのが最大の強み。暮らすように滞在できます。
項目 | 詳細情報 |
住所 | 1 Bach Dang Street, Ward 2, Tan Binh District |
電話番号 | +84-28-3848-9333 |
参考料金 | 1泊 約1,200,000 VND〜(約7,200円〜) |
特徴 | キッチン・洗濯機付き。家族連れや長期滞在に最適。 |
ホーチミンの熱気は空港から始まる

タンソンニャット国際空港は、エネルギッシュなベトナムの縮図のような場所です。
最初は人の多さとバイクの音に圧倒されるかもしれませんが、
「Grabの乗り場を確認しておく」「ぼったくりタクシーを無視する勇気を持つ」という準備さえしておけば、怖いものは何もありません。
帰国時は、ぜひ余裕を持って空港へ向かい、ラウンジでのフォーや足つぼマッサージで旅の疲れを癒やしてください。
この記事が、あなたのベトナム旅行のスタートダッシュと有終の美を飾る手助けになれば幸いです。
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