
アメリカへの旅行や出張の計画中、
「せっかく行ったのにお店が全部閉まってる!」
「取引先から大事な返信が来ない…」
なんて事態は、絶対に避けたいですよね。
アメリカ全体の「連邦祝日」と州ごとの「独自の祝日」を区別し、それぞれが観光やビジネスにどう影響するのかを具体的に知るだけで、そんな不安も簡単に解消できます。この記事では、旅行を避けるべき祝日やイベントを楽しめる日を解説。
あなたの渡米計画が最高のものになるよう、アメリカの祝日に関する情報をまとめたので、ぜひ参考にしてくださいね。


アメリカ合衆国の祝日一覧
日付 | 祝日名 |
1月1日 | 元日 (New Year's Day) |
1月の第3月曜日 | キング牧師記念日(Martin Luther King, Jr. Day) |
2月の第3月曜日 | 大統領の日 (Presidents' Day) |
5月の最終月曜日 | 戦没将兵追悼記念日 (Memorial Day) |
6月19日 | ジューンティーンス (Juneteenth) |
7月4日 | 独立記念日 (Independence Day) |
9月の第1月曜日 | 労働者の日(Labor Day) |
10月の第2月曜日 | コロンブス・デー** (Columbus Day) |
11月11日 | 復員軍人の日 (Veterans Day) |
11月の第4木曜日 | 感謝祭 (Thanksgiving Day) |
12月25日 | クリスマス (Christmas Day) |
アメリカの祝日を正確に把握することは、スムーズな旅行やビジネス計画の第一歩です。まずは国全体で定められている11の連邦祝日(Federal Holidays)の全体像をつかみましょう。
これらの日は、政府機関や銀行が休みになるため、特に重要な日付です。また、日付が毎年固定されているものと、「●月の第〇月曜日」のように移動するもの(ハッピーマンデー)があるので注意が必要です。
アメリカの祝日とその意味・由来

アメリカの祝日を単なる「休日」として知るだけでなく、その背景にある意味や由来を理解すると、旅やビジネスシーンでの現地の人々との会話がより一層深まります。
ここでは、数ある連邦祝日の中から特に重要で、アメリカ文化を象徴するものをいくつかピックアップして解説します。
キング牧師記念日|1月の第3月曜日
1月の第3月曜日は、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者であったマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の功績を称える日です。彼の誕生日は1月15日ですが、ハッピーマンデー制度により第3月曜日に制定されました。
キング牧師は、「I Have a Dream(私には夢がある)」の演説で知られる通り、非暴力主義を掲げて人種差別の撤廃を訴えました。この日は、彼が残した平等と平和へのメッセージを再認識する日。各地で追悼式典やボランティア活動が行われ、テレビでは彼の生涯を描いたドキュメンタリーが放映されます。
独立記念日|7月4日
7月4日は、アメリカがイギリスからの独立を宣言した1776年7月4日を記念する、国の一大イベントです。通称「Fourth of July」とも呼ばれ、国中が星条旗カラーの赤・白・青で彩られます。
この日は、アメリカの建国を祝う日。多くの家庭では、庭でバーベキューを楽しみ、夜には各地で盛大な花火が打ち上げられます。
特にニューヨークのメイシーズ主催の花火大会は有名ですね。もしこの時期に滞在するなら、愛国心に満ちたアメリカの熱気を肌で感じられる、またとない機会になるでしょう。
感謝祭|11月の第4木曜日
11月の第4木曜日は、アメリカ人にとってクリスマスと並ぶほど大切な家族行事、「感謝祭(Thanksgiving Day)」です。その起源は1621年、プリマス植民地の入植者が、先住民であるネイティブアメリカンの助けを得て収穫を乗り越えられたことを感謝し、祝宴を開いたことにあるとされています。
この祝日の主役は、何と言っても七面鳥の丸焼き。家族や親戚が集まり、クランベリーソースやパンプキンパイといった伝統的な料理を囲みます。
ニューヨークの「メイシーズ・サンクスギビング・デー・パレード」も全米でテレビ中継される風物詩。アメリカの家庭的な温かさに触れられる特別な1日です。
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アメリカの州独自の主な祝日

アメリカでの計画を立てる際、連邦祝日だけでなく「州独自の祝日」の存在を見落とすと、思わぬところで戸惑うことがあります。なぜなら、これらの祝日はその州の政府機関や学校、一部の銀行が休みになるため、スケジュールに直接影響を与える可能性があるからです。
ここでは、多くの旅行者が訪れる人気の州の中から、特に知っておくべき祝日を5つピックアップしてご紹介します。
カリフォルニア州|セサール・チャベスの日(3月31日)
カリフォルニア州やテキサス州など、主にアメリカ南西部で祝われるのが、3月31日の「セサール・チャベスの日」です。彼は、ラテンアメリカ系アメリカ人の農場労働者の権利向上のために生涯を捧げた、公民権運動の指導者でした。
この日は、彼の非暴力の哲学と社会正義への貢献を記念する日。特にヒスパニック系のコミュニティが多いカリフォルニアでは、州の機関や公立学校が休みになります。
もし3月末にロサンゼルスやサンフランシスコを訪れるなら、一部の公共サービスが利用できない可能性を頭に入れておくと良いでしょう。
マサチューセッツ州|愛国者の日(4月第3月曜日)
4月の第3月曜日、マサチューセッツ州とメイン州では「愛国者の日(Patriots' Day)」が祝われます。これは、1775年にアメリカ独立戦争の最初の戦いであるレキシントン・コンコードの戦いが始まったことを記念する日です。
この祝日には、世界的に有名な「ボストンマラソン」が開催されます。そのため、ボストン市内中心部で大規模な交通規制が敷かれ、街はランナーと観客で溢れかえります。
この時期にボストンを訪れる予定なら、交通の混乱を避ける計画と、歴史的なイベントの熱気を楽しむ準備をしておくのがおすすめです。
テキサス州|テキサス独立記念日(3月2日)
3月2日は、テキサス州民にとって非常に重要な「テキサス独立記念日」です。1836年のこの日、テキサス共和国がメキシコからの独立を宣言したことを記念しています。
この日は、「ローンスター・ステート(一つ星の州)」と呼ばれるテキサスの誇りと独立精神を象徴する日。州都オースティンやサンアントニオのアラモ砦など、州内の歴史的な場所では、独立戦争の再現劇やパレードなどの記念行事が行われます。
テキサスならではの文化に触れたいなら、この時期の訪問は特別な体験になるかもしれません。
イリノイ州|リンカーン誕生日(2月12日)
多くの州では2月の第3月曜日の「大統領の日」にまとめて祝いますが、イリノイ州をはじめいくつかの州では、第16代大統領エイブラハム・リンカーンの誕生日である2月12日を独自の祝日としています。リンカーンが政治家としてのキャリアの大部分を過ごしたのがイリノイ州だったためです。
州都スプリングフィールドにあるリンカーンゆかりの地では、献花式などの記念行事が行われます。この日にシカゴなどを訪れる場合、州関連の施設が閉まっていることがあるため、訪問先の営業情報を事前に確認しておくと安心です。
ハワイ州|カメハメハ・デー(6月11日)
6月11日は、ハワイ州で最も重要な祝日の1つ「カメハメハ・デー」です。これは、1810年にハワイ諸島を初めて統一したカメハメハ大王の功績を称える日です。
この日は、州全体が華やかなお祝いムードに包まれます。特にオアフ島ホノルルにあるカメハメハ大王像は、たくさんのレイで美しく飾られ、その前を色鮮やかなフロート(山車)や馬に乗った人々が練り歩く「フローラル・パレード」は圧巻。
ハワイの豊かな文化と歴史に触れる絶好の機会となるでしょう。
【シーン別】アメリカ祝日の影響と具体的な注意点

祝日があなたの計画にどう影響するのかは、「旅行」と「ビジネス」というシーンによって大きく異なります。
ここでは、それぞれのケースから見た具体的な注意点を詳しく解説します。「お店が開いていない!」「連絡が全くつかない!」といった予期せぬトラブルを避けるために、ぜひ最後まで目を通してください。
【旅行者向け】お店の営業時間は?空港の混雑度は?
旅行者にとって、祝日は楽しみでもあり、注意が必要な日でもあります。特に「お店の営業」と「交通機関の混雑」は、旅の満足度を左右する重要なポイントです。
祝日だからといって、全てのお店が閉まるわけではありません。むしろセールで賑わう祝日も多いのがアメリカの特徴。特に知っておきたいのは、以下の3パターンです。
1.クリスマス(12月25日)|ほぼ完全に休業
クリスマスには、大手スーパーやショッピングモール、レストランに至るまで、ほとんど全ての商業施設が休業します。街は静まり返り、場所によってはゴーストタウンのようになることも。もしホテル以外で食事を考えているなら、前日の24日までに食料を確保しておくのがおすすめです。
また、クリスマスから元旦にかけては帰省や旅行で、空港はごった返すので、余裕をもった移動をしましょう。
2.感謝祭(11月の第4木曜日)|多くの店が休むが、一部は営業
クリスマスに次いで、多くの店舗が休業するのが感謝祭。しかし、一部の中華料理店や、感謝祭特別ディナーを提供するホテル・レストランは営業していることがあります。
しかし、感謝祭は1年で最も交通機関が混雑する期間でもあります。特に感謝祭当日の前の水曜日の午後と、連休最終日の日曜日がピーク。空港では、保安検査に通常の2倍以上、90分を超えることも珍しくありません。
3.独立記念日、大統領の日など|セールで賑わう
これらの祝日は、多くの小売店にとって絶好の書き入れ時。「Presidents' Day Sale」や「4th of July Sale」といった大規模なセールが開催され、ショッピングを楽しむには最適な日となります。
【ビジネス向け】|銀行・株式市場の休場日と連絡の注意点
ビジネスでアメリカと関わる場合、祝日は業務の進行を左右する重要な要素です。金融機関の休業はもちろん、アメリカ特有の「休暇の取り方」を理解しておく必要があります。
アメリカの銀行やニューヨーク証券取引所(NYSE)などの金融市場は、連邦祝日に原則として休業します。国際送金や決済、株式取引の予定がある場合、これらの休業日を前提にスケジュールを組むことが不可欠です。
特に以下の4つのポイントに注意しましょう。
1.「祝日の前後」こそ要注意!
最も注意すべきは、祝日当日よりも、その「周辺期間」の業務の停滞です。日本では考えにくいかもしれませんが、アメリカでは祝日を絡めて長期休暇を取るのが一般的。
これを知らないと、重要な連絡が滞る原因になります。
2.感謝祭の週
多くのビジネスパーソンは、感謝祭前日の水曜日の午後にはすでに休暇モードです。感謝祭(木曜)と翌日の金曜(ブラックフライデー)も休み、そのまま週末に入るため、実質的に水曜の午前中がその週の最終稼働日。重要な連絡や依頼は、週の初め、月曜か火曜までに済ませるのが賢明です。
3.クリスマスの週〜年末年始
この時期はさらに顕著です。多くの企業では、12月20日頃から1月3日頃まで、オフィスが閑散とします。この期間に新規の契約や急ぎの要件を持ち込むのは避けた方が良いでしょう。
4.夏のバケーションシーズン
祝日ではありませんが、7月から8月にかけて、担当者が2週間の夏休みを取っていることも日常茶飯事です。重要なプロジェクトを進める際は、関係者の休暇スケジュールを事前に確認しておくことがプロジェクト管理の鍵となります。
アメリカの祝日に関するよくある質問
日本のGWやお盆のような大型連休はありますか?
日本のゴールデンウィークやお盆のように、国が定めた国民が一斉に休む大型連休はアメリカにはありません。しかし、実質的に大型連休のようになる期間が年に2回あります。ブラックフライデーやハロウィンは祝日ではないのですか?
はい、どちらも連邦祝日ではありません。したがって、政府機関や銀行は通常通り業務を行います。しかし、これらはアメリカの文化や経済において、祝日以上に重要な意味を持つ特別な日です。ハッピーマンデー制度とは何ですか?
ハッピーマンデー制度とは、一部の祝日を特定の日付から特定週の月曜日に移動させる制度のことです。これにより、土曜日・日曜日と合わせて3連休が生まれます。アメリカの祝日に店舗や銀行は開いていますか?
多くの場合、連邦祝日には政府機関、銀行、郵便局が閉鎖されます。しかし小売店やレストランなどの民間企業は開いていることが多いです。ただし、営業時間は短縮される場合があります。
アメリカの祝日をチェックしよう

アメリカの祝日について、その一覧から意味、そして旅行やビジネスに与える具体的な影響までを網羅的に解説しました。
祝日のなかでも、クリスマスと感謝祭は、多くのお店が休業し交通機関も1年で最も混雑するため、旅行や出張の際は最大級の注意が必要です。一方で、大統領の日のように大規模なセールが開催され、買い物には最適な祝日もあります。
祝日は、アメリカの歴史や文化を肌で感じる絶好の機会でもあります。祝日の特性を理解した上でスマートな計画を立てれば、あなたの旅行やビジネスは、よりスムーズで充実したものになるでしょう。

