
韓国の秋夕(チュソク)は、旧暦8月15日に行われる韓国最大の伝統行事のひとつです。中秋の名月とも呼ばれるこの日は、先祖への感謝と秋の豊作を祈る神聖な時期として、現在でも韓国全土で大切に守られています。
この記事では、韓国の秋夕の時期や慣習についてまとめました。最後まで読むと、今まで知らなかった韓国の一面に気付けます。
2025年の秋夕|10月6日(月) |
韓国の秋夕(チュソク)とは?

韓国の秋夕(チュソク)とは、旧暦8月15日に行われる韓国最大の伝統行事のことです。中秋の名月とも呼ばれるこの日は、先祖への感謝と秋の豊作を祈る時期として、韓国全土で大切に守られています。
秋夕は別名を「ハンガウィ」とも呼ばれ、旧正月(ソルラル)と並ぶ韓国の2大名節です。この時期になると、韓国全国で帰省ラッシュの光景が各地で見られます。日本でいう「お盆」と似た風習です。
2025年韓国の秋夕はいつ?

2025年の秋夕は10月6日(月)です。前後の祝日と週末が重なって、最大6日間の連休が予想されます。この時期は韓国全土で帰省ラッシュが発生し、交通機関や宿泊施設が大変混雑するでしょう。韓国旅行を計画している方は、ある程度の混雑を覚悟してください。
2025年の秋夕
項目 | 日程 |
秋夕当日 | 2025年10月6日(月) |
秋夕連休 | 10月4日(土)~10月9日(木) |
連休日数 | 6日間 |
特徴 | 開天節、ハングルの日と重なり長期連休 |
現代の韓国社会における新しい秋夕

現代の韓国では核家族化により、伝統的な秋夕の過ごし方にも変化が見られます。たとえば、故郷に帰らずソウルなどの都市部で過ごす「逆帰省」や、海外旅行を楽しむ新しいスタイルも定着しつつあります。
これらの変化は、現代韓国社会の多様性を反映しており、伝統と現代が調和した新しい秋夕文化の形成につながっています。
韓国の秋夕の過ごし方は?
1.茶礼(チャレ)先祖供養
秋夕当日の朝に行われる茶礼は、茶礼床(チャレサン)と呼ばれる祭壇に20種類以上の食べ物を丁寧に配置するところから始まります。家族全員がチマ・チョゴリなどの正装(韓服)を着用し、深いお辞儀をします。
収穫したての新米やお酒、季節の果物などを先祖に供え、一年間の恵みに感謝の気持ちを表現します。年長者から順番に礼拝を行い、家族の絆を深める重要な時間です。
2.墓参り(ボルチョ)
秋夕の約1ヶ月前から、「伐草(ボルチョ)」と呼ばれる墓地の清掃作業が始まります。夏の間に伸びた草を刈り、墓の周囲を整備することで、先祖への敬意を示すのです。
韓国では「伐草をしなければ子孫の証が失われる」と言われるほど重要視されており、どんなに遠方にお墓があっても必ず行われる風習となっています。秋夕の2~3週間前の週末には、高速道路が渋滞することは珍しくありません。
秋夕でいただく韓国の料理3選

1. ソンピョン(松餅)
ソンピョンは、うるち米の粉を水で練った生地に小豆や栗、すりゴマと砂糖を混ぜた餡を包んだお餅です。半月型に整えて松葉を敷いた蒸し器で蒸し上げるため、ほのかな松葉の香りが特徴。
美しい形に作ることができれば、素敵な結婚相手に恵まれ、妊娠中の女性は可愛い赤ちゃんが生まれるという言い伝えがあります。秋夕の食卓を華やかに彩る一品として、現在でも多くの家庭で手作りされています。
2. ジョン(煎)
ジョンは、野菜やひき肉、魚の切り身などに小麦粉と溶き卵を混ぜたチヂミです。ズッキーニやニラ、大根などの野菜ジョンや、白身魚を使った魚ジョンなど種類も豊富。それぞれ異なる食感と味わい。
外はカリッ、中はもちもち。醤油ベースのタレにつけて食べるのが一般的。家族みんなで作る過程も、秋夕の楽しみのひとつとなっています。
3. ナムル(和え物)
ナムルは秋の収穫野菜を使った和え物です。桔梗やゼンマイ、ほうれん草、もやし、大根などを茹でて、ごま油、塩、ニンニクなどで味付けして作られます。各野菜の自然な甘みと食感を活かしながら、ヘルシーで栄養価の高い一品として親しまれています。
地域や家庭によって使う野菜や調味料が異なるため、それぞれの家の味が受け継がれる伝統料理でもあります。
秋夕の韓国観光で注意したい3つのこと
1. 交通機関の大混雑
秋夕期間中の韓国は「民族大移動」と呼ばれる、大規模な帰省ラッシュが発生します。ソウル駅や高速バスターミナルは早朝から長蛇の列となり、通常の数倍の移動時間を要することも。
フライトの価格は2~3倍に跳ね上がり、予約自体が困難になるケースもしばしば。この時期に韓国旅行を計画する場合は、早めの予約と移動の余裕を持った計画が必要不可欠です。
2. 飲食店などの休業
秋夕期間中、韓国で多くの飲食店や小売店が休業となります。とくに、普段賑わっている明洞や江南エリアでも閑散とした雰囲気が漂い、営業している店舗を見つけるのが困難かもしれません。
コンビニエンスストアでも営業時間を短縮する店が多く、食事や買い物に苦労する可能性があるでしょう。ホテル内のレストランなどを利用することをおすすめします。
3. 入場制限と特別料金
人気の観光地では秋夕期間中に入場制限が設けられ、事前予約なしでは入場できない場合があります。また、特別料金が設定される可能性もあります。
一方で、韓国の伝統文化を体験できる特別イベントや民俗遊び体験などが開催される観光地もあります。事前に、各施設の公式サイトで最新情報をチェックしてみてください。秋夕ならではの体験を楽しみましょう。
韓国の秋夕における過ごし方

1.カンガンスルレ
韓国南西部の全羅道地方に伝わる「カンガンスルレ」は、秋夕の夜に行われる民俗遊びです。女性や子どもたちが手をつないで円になり、左右に動きながら一緒に歌を歌います。豊作への感謝と来年の豊穣を祈る意味が込められており、結束を深める重要な役割を果たしています。
現在でも文化イベントとして再現。ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
2.駕籠(かご)戦い
朝鮮半島の伝統的な男性の遊びで、村の若い男性たちが参加する力比べの競技です。2つのチームに分かれ、それぞれが大きな駕籠を担いで相手チームの駕籠に向かって突進。相手の駕籠を壊すか転倒させることを目指します。
この遊びは豊作を祈願し、悪霊を追い払う意味が込められております。現在では、安全面を考慮して実際の戦いは少なくなりましたが、文化イベントでデモンストレーションとして再現されています。
3.お月見
家族全員で庭に出て、満月を眺めながら願い事をする「お月見」も人気です。美しい月を見上げながら家族の健康と幸福を祈るもの。この風習は現在でも多くの家庭で続けられており、秋夕の夜を彩る伝統として親しまれています。
韓国の秋夕でよくある質問

韓国の秋夕でよくある質問
Q1: 韓国の秋夕と日本のお盆は同じ?
A: 似ている部分もありますが、秋夕は旧暦8月15日の中秋の名月に行われ、先祖供養と豊作感謝の両方の意味を持つ点で異なります。日本のお盆は、先祖の霊を迎える行事です。Q2: 秋夕に韓国旅行をしても大丈夫?
A: 多くの店舗が休業し、交通機関も混雑するため、あまりおすすめできません。ただし、観光地では特別イベントが開催されることもあるので、情報収集をして計画を立てることが重要です。Q3: ソンピョンはどこで食べられますか?
A: 韓国の伝統菓子店や百貨店で購入できます。韓国文化体験施設では作り方を学ぶこともできます。日本でも、韓国系のお店で時期によって販売されます。Q4: 韓国の秋夕には何を贈るのが一般的?
A: 海苔や食用油、韓菓、果物セットなどの食品類や、洗剤、シャンプーなどの生活用品が人気です。最近では、百貨店の商品券や健康食品なども選ばれています。
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韓国の秋夕は伝統的な行事

韓国の秋夕は、1500年以上の歴史を持つ伝統的な名節です。現代社会の変化に適応しながら受け継がれている、貴重な文化遺産といえるでしょう。先祖への感謝や家族の絆、収穫への喜びといった価値を大切にしながら、新しい時代に合った形で発展を続けています。
この時期の韓国は、いつもと異なる風景が見られるでしょう。何度も訪韓している方でも、今までと違う韓国に触れてみてください。
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